幼少期からメモや落書きを、自分の生きている痕跡として紙に写し、収集する癖があった。
それは存在という不確かな概念を、少しでも理解しようとしていたのかもしれない。
しかしその収集物は外面的な情報でしかなく、精神の本質に迫るものではなかった。
捨てることも出来ず、溜まり溢れた紙の山を眺めていたある時、全て再生紙にしようと考えた。
そして表現物として形にする事で、より深く自身と向き合おうと試みた。
結果、思想の具現化「紙層」が生まれた。
具象的な形に捉われず、時の流れによって生成された自然物の様な風合いが特徴。
また余白が多い抽象物の為、設置場所や環境や鑑賞者によって、捉え方が大きく異なる。